私の手記- memoir -です


by masatokunkeio

映画 第三の男

英 1949年 白黒。
ジョゼフ・コットン主演。木訥とした演技がよく似合う。ドギマギしたり、突然乱れたりとジョゼフ・コットンの演技自体が、その不可解さあふれる演技自体がこの第三の男のストーリーの厚み作りに一躍買っている。モンローの映画で演じていたジョゼフ・コットンより、やはり第三の男の主役としての彼の方が明らかに「脂がのったうま味100%」の好演であることは間違いない。

そして悪役ハリー・ライムを熱演したのは、かのオーソン・ウェルズ。学生時代にはイングリッシュ・アドベンチャーのナレーションで聞き慣れたあの名優だ。しかしこの映画に出てくるオーソン・ウェルズは若い。あの極めて渋い声ではない。しかし独特な表情で演じるその悪役ぶりには固唾をのんだ。個人的にオーソン・ウェルズは英語の恩師でもあるので悪役をやって欲しくなかったが、やはり彼はこういう役がピッタリなのだろう。もっともオーソン・ウェルズは映画撮影時にいろいろなトラブルを起こしていたようだ。私生活はともかく、やはり彼は個性派俳優でお気に入りNo.1だ。

「スイスの同胞愛、そして500年の平和と民主主義はいったい何をもたらした? 鳩時計だよ」
という原作にないオーソン・ウェルズの台詞は賛否両論あるようだが、強力なメッセージであることは否定できないだろう。闇雲にヒーローを狙う憎らしい悪役ではなく、悪の美が前面に溢れている。テーマ曲も有名。アントン・カラスのダイナミックでもあり、可憐でもある演奏が映画の随所で堪能できる。

映画中の演出もすばらしい。陰影を巧みに生かしたミステリアスなアーティスティックは白黒映画であることもあって本作を単なるサスペンスに終わらせることなく、名フィルム・ノワールへと「美術的作品」へと昇華させている。
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by masatonet | 2011-09-19 10:48 | ヒトリゴト日記