私の手記- memoir -です


by masatokunkeio

<   2008年 11月 ( 3 )   > この月の画像一覧

0系新幹線との思い出

2008年12月14日、0系新幹線の運転が終わるようだ。
これといって鉄道マニアでもないし、新幹線好きな「お上りさん」でもない私だが、
この0系新幹線との間には希有な体験の持ち主なのだ。
今ここに、その体験を綴る。

「当選したよ!」
小学校帰り、母がそう言いながら迎えてくれた。
新幹線開通10周年記念。その時、満10歳の少年少女対象に、国鉄(現在のJR西日本)が「一日運転手」と「一日車掌」の募集をしていたのだ。
母がそれに応募していたことは全く知らなかったのであるが、相当数の応募があって抽選が合った結果、運良く私が当選したのだ。
当選者達が国鉄の会議室に集まり、どの区間の「一日運転手」・「一日車掌」を勤めるか話し合った。数人の国鉄職員のおじさん達が私の身の丈を計ったり色々していた。印象的だったのが、当時の国鉄職員のおじさん達がみんなやさしく接してくれたことだった。今思うと「当選した子供達」に対してなのて当然であるが、「国鉄のおじさんは、こわいおじさん」という私のイメージを変えてくれた貴重な体験にもなった(笑)。

その後、「一日運転手」に選ばれた私に国鉄から送られたのは、特別に仕立てられた「運転手用制服」だった。当時の新幹線運転手が着る服と全く同じデザインで、帽子から靴に掛けてまさに「小型の運転手」を作るという計画だったようだ。
正直な話、最初私は遊園地の催し物程度だろうと高を括っていたのだが、緻密作られた自分専用の「運転手用制服」を着た瞬間、これはただ事でないと思った。

当日、セレモニーが行われ、ミニコンサートがあった。「A列車で行こう」という曲でビートを足で刻んでいた私の姿がどこかのテレビに映ったらしい(笑)。そして、マスコミのフラッシュやスポットライトを全面に浴びながら、生まれて初めて、新幹線の運転席に入った。10歳の私には運転席のステップが非常に高かったのをいまでも鮮明に覚えている。

この体験は、強烈であった。まさに先頭の景色。新幹線の先頭の景色である。
狭い運転窓から見たのは猛烈なスピードで左右に引き裂かれてゆく景色であった。
そして、一般の客室では体験できない振動と騒音が強烈な刺激となって私を包んだ。

「一日運転手」とはいっても、流石に実際運転するわけではない。10歳では不可能だ。しかし、私はとなりに座っていた本物の運転手のおじさんにこう言った。
「ちょっとだけで良いから、そのレバー(スピードを調節するレバー)にさわっていい?」今でもあまり変わらないが、遠慮しない性格はこの頃から既にあったようだ(笑)。
その時、新幹線は時速200キロくらい出ていたと思う。客室には実に満員の乗客。その中には私を可愛がってくれた祖父母も乗っていた。もしものことがあったら大惨事だ。

「えっ! ううう〜ん。ちょっと待ってよ」運転手のおじさんはそう言うとスピードを少し落とした。
「本当はいけないんだよ。でも特別にね」
私はレバーを触った。私の手の上を運転手のおじさんと、私専属の国鉄職員のおじさん(この方が本当にやさしかった)が手を添えた。

ほんの一瞬だった。

レバーは色が少しはげていた。そして重かった。


0系新幹線との思い出はまだまだ続く。



b0063673_194112.jpg

JRのイベントにメッセージを送りました。

「小学生の時、新幹線開通10周年記念で0系新幹線の運転席に乗りました。
その時に客席に乗った祖父母も今は思い出の彼方に。
特別に仕立てられた「一日運転手」の制服は今でも私の洋服ダンスの中で、
運転席で見た感動を包んでいます。」
[PR]
by masatonet | 2008-11-12 19:32 | ヒトリゴト日記

屋敷の松

b0063673_2054817.jpg

Carl Zeiss Distagon T* 3.5/18
D700 / 4256 x 2832FX / 1/400秒 / F10 / 0EV / ISO800 / WB:曇天
[PR]
by masatonet | 2008-11-02 20:06 | 写真(Photo)

瀬戸の海

b0063673_2024239.jpg

Carl Zeiss Distagon T* 3.5/18
D700 / 4256 x 2832FX / 1/200秒 / F16 / 0EV / ISO200 / WB:晴天/PictureC: Vivid
[PR]
by masatonet | 2008-11-02 20:02 | 写真(Photo)